スケールとは?

スケールとは?

スケールの正体

 配管内に水(流体)を通す機器・配管系統では、水中に含まれる炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、シリカ等の無機塩類が内壁に析出します。これがスケールと言われるものです。スケールは、非常に硬く、水に溶けにくい(難溶性)物質であり、金属製の工具を使用しても人力で削り落とすのはなかなか困難です。

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スケールの生成原因

全ての物質にはそれぞれに水に溶ける量の限界があります。これを溶解度といい、溶解度を超えた量の物質は沈殿(析出)していきますが、この沈殿がスケールの基になります。(例:水道水をガラス容器に入れ、水を完全に蒸発させたときに容器の底に残る白い粉)

スケールが析出しやすい設備の代表としてクーリングタワー(冷却搭)が上げられます。これは同一の水を何回でも再循環させ、クーリングタワーにて蒸発させて熱交換を行うため、クーリングタワーに不純物が急激に濃縮しやすいということなのです。

 温度の高いコンデンサーや、蒸発乾固するエリミネーター等にもスケールが良く見られるのは同様の原因からです。

水道管が錆びる理由

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スケールの種類

スケールは、そのスケールを構成している物質により、以下のように分類されます。

種類 主な物質
シリカスケール ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸コロイド
カルシウムスケール、マグネシウムスケール 炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、
水酸化マグネシウム、リン酸カルシウム
スライム 藻、バクテリア
シリカスケールとは?

シリカ(SiO2)は、珪素(シリコン)と酸素が化合した物質です。ナトリウムやカルシウム等の塩基と結び付きやすい性質を持っており、シリカだけの大きく成長した単結晶は、一般に水晶や石英と呼ばれます。
 水の中ではシリカの大部分がコロイド粒子という、沈殿を起こさない大きさの微粒子として溶け込んでいます。このシリカがカルシウム等の塩基を取り込み、配管の内壁や機器の内側等で析出すると非常に硬いスケールが固着した状態となります。

カルシウムスケールとは?

水の中に含まれているカルシウムは水中に溶けている二酸化炭素と結びついて炭酸カルシウムとなります。この物質は難溶性で水中から結晶化して析出します。炭酸カルシウムの結晶は斜方晶系の針状結晶であるアラゴナイトと六方晶系のカルサイトの2種類*1があります。
固着スケール障害の場合は機器・配管の内壁面に針状結晶のアラゴナイトが析出し、これが成長することによって、硬質のスケールが固着していきます。これはアラゴナイトがカルサイトより硬く、放射状に析出するため配管内壁表面の微細な凹凸に嵌り込みアンカー効果*2によって固着する力が強くなります。

*1 厳密にはバテライトと呼ばれる結晶も存在するが自然に形成されることは稀なため、ここでは取り上げない。
*2 アンカー効果:接触面の凹凸の形状と表面積の増加により絡み合い、接着力が強固になる効果。

スケールのイメージ

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スケール対策の方法と注意点

スケール対策の方法としては以下のようなものがあります。また、それぞれのメリットとデメリットをまとめます。

対策の方法 メリット デメリット 目安のコスト
赤錆剥離・
除去電磁気
装置
・ランニングコストが低い
・効果の永続性が非常に高い
・薬品を一切使わず、
 安全性が高い
・メンテナンスが必要ない
・機器の装着が簡便
 (設備を止める必要がない)
・スケール対策だけでなく、
 赤錆に対しても効果が高い
・即効性が低い

イニシャル:250万円
ランニング:0.3万円/年

※口径125Aの設備の場合

薬剤洗浄
(薬洗)
・即効性が高い
・洗浄前と洗浄後とで
 効果が見えやすい
・設備を止める必要がある
・効果の継続性が低い
・人件費がかかる
・薬品が劇物であり、
 人体及び環境に
 対する危険性が高い
・薬品の濃度を間違えると
 機器・配管の損傷を
 招く可能性がある

イニシャル:特になし
ランニング:100万円/年

※年2回薬洗を行う場合

薬剤注入
(薬注)
・管理の手間が少なくなる
・設備を止める必要がなくなる
・薬洗と比較すると薬品の
 リスクが低くなる
・イニシャルと
 ランニングコストがかかる
・効果の継続性が高い
・薬品の人体及び
 環境への負荷が高い
・薬品の濃度を間違えると
 機器・配管の損傷を
 招く可能性がある
・リン酸塩系薬剤を
 利用することが多く、
 水の成分が富栄養化し、
 藻などが生えやすくなる
イニシャル:200万円
ランニング:40~50万円/年
軟水器/RO膜/
ろ過器
・そもそもの原因成分を
 取り除くため、
 スケールが発生しなくなる
・水質自体の改善になり、
 スケール対策以外の
 副次的効果を得られる
・イニシャルと
 ランニングコストが
 非常に高い
・(軟水器)ろ材洗浄用塩化
 ナトリウムの使用料が多い
・(RO膜)高価な膜の
 定期的交換が必要
・(ろ過器)定期的な
 フィルター交換が必要

イニシャル:300~1500万円
ランニング:50~100万円/年

※機器によりかかる
コストが異なる

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本当は怖い!?スケール対策に使われる一般的な薬品とその毒性

スケール(特にシリカスケール)を除去するには、極めて毒性の高い化学物質(フッ素系化合物等)を使用せざるを得えません。フッ素系化合物は、短時間でスケールを溶かしますが、人間の皮膚から容易に浸透し、体内血中をまわり、骨まで溶かします。カルシウムとの結合、やがて「低カルシウム血症」「心室細動」を引き起こします。当然、空間に残留する粉塵やガス等を吸引しても極めて危険です。

薬品の種類 薬品の働き
ホスホン酸
(有機リン系化合物)
神経伝達物質の伝達を阻害する毒物
ポリアクリル酸ソーダ 生分解せず、微粉を吸い込むことで肺気腫の原因になるとの警鐘
水化ヒドラジン 発がん性物質
イソチアゾリン 殺菌剤
フッ化アンモニウム 誤飲・吸入した場合は死に至る可能性

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スケール簡易チェック

以下のチェック項目で、一つでも該当したらスケールが発生している可能性が高いです。

水がまずくなった。鉄の味がする。 洗濯物に赤(オレンジ)色が付く。 洗面器や大便器などに水跡が付く。 水の流れが悪くなった。 漏水が起きた。 製品製造で水を利用する際、品質の問題が生じる。

赤水・赤錆簡易チェック

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